最近では、従業員のワークライフバランスを重視し、元日のみならず正月3ケ日を休業とする大手チェーン(サミット、ライフ、イトーヨーカドーの一部など)が増えています。
地方のスーパーマーケットへも徐々にその流れは広がっていて、元旦・1月2日を全店休業とする企業も増えてきています。
その一方で、イオングループ等、営業時間は短縮するものの、休まずに営業を続けている企業もあり、それぞれにメリット・デメリットがあるために、戦略に差が出てくるのだと考えます。
改めて正月営業のメリット・デメリットをまとめてみました。
メリット

収益と集客の最大化
お正月特需の獲得: 帰省客や家族連れによる「ハレの日」の需要が高まり、単価の高い食材(刺身、オードブル、寿司盛り合わせ、高級肉、酒類、など)が売れやすくなります。
特に、お惣菜部門においては、3が日の間でも元日→1月2日→1月3日と単価が段々下がっていきますが、大手スーパーが休む3ケ日は売り上げは高めで推移します。
ただ、3ケ日は営業しても時短営業のケースが多く、来客もゆっくりな傾向があるため、必ずしも売り上げもこの順番になるとは限らないのはお断りしておきます。
初売り・福袋の効果: 「初売り」というイベント性により、普段は来店しない層を呼び込むことができます。
他店との差別化: 近隣の競合店が休業している場合、シェアを一気に奪うチャンスとなります。
顧客利便性の向上と信頼維持
「開いている安心感」の提供: 冷蔵庫が空いた際や急な来客時に買い物ができるため、地域住民からの信頼や「頼りになる店」というブランドイメージに繋がります。
特に、田舎のお店ほどありがたい存在になりそうです。
と言うのも、外食店が少なかったり、仕出し屋さんもお休みになったりと、食品を買い足すのが難しくなるので、近場に開いているお店があると助かりますよね。
特別手当が出る企業も…!?
元旦営業の際には、特別手当が支給されるケースがありました。稼ぎたい方には、更なるモチベーションになります。
デメリット

人材確保とコストの増大
人件費の高騰: 正月手当(時給アップ)の支払いが必要となり、売上が伸びても利益率を圧迫する可能性があります。
シフト調整の困難: 帰省や休暇を希望する従業員が多く、無理な出勤を強いることで離職率の向上やモチベーションの低下を招くリスクがあります。
サプライチェーンへの負担
仕入れの難化: 卸売市場が休場するため、新鮮な生鮮食品の確保が難しくなり、在庫管理の難易度が上がります。また、運送会社も休業になるケースがあり、追加対応が難しい場合が多くなっています。
企業イメージへの影響
時代の趨勢との乖離: 社会的に「働き方改革」や「正月は休むもの」という意識が強まっているため、無理な営業を続けていると「従業員を大切にしない企業」と見られるリスクがあります。
長期的なメリット・デメリット

と言うことで、メリット・デメリットをそれぞれ数項挙げてみましたが、結論どちらが得なの?という疑問があります。
その時代の風潮で大きく見解が変わる可能性がありますが、2026年現在においては、短期的には売り上げを失うものの、長期的には非常にポジティブな影響が出ると思われます。
以下にその利点をまとめてみました。
採用力と従業員定着率の向上
「正月休み」が強力な採用武器に: 他の小売店や外食店が年中無休を掲げる中で、「正月はしっかり休める」という条件は、小売業・外食の中での就職・転職市場で非常に強力なアピールポイントになります。
離職率の低下: 正月を家族や友人と過ごせることは、従業員のワークライフバランスを向上させ、心理的な満足度を高めます。これにより、ベテランスタッフの離職を防ぎ、教育コストの削減にも繋がります。
年末商戦への集中力: 「正月は休める」という目標があることで、最も忙しい12月末の繁忙期を乗り切るモチベーションが生まれます。
人手不足が大きな課題になっている中、大きな利点になると言えそうです。
コスト構造の最適化
割高な人件費の削減: 正月出勤のための特別手当や、無理な人員配置によるコストをカットできます。
物流・仕入れの効率化: 市場や問屋が休む正月に無理やり商品を揃える必要がなくなり、12月末に売り切る「在庫ゼロ」の運用がしやすくなります。
これにより、正月の鮮度低下による廃棄ロスも削減できます…が、逆に年末繁忙期の機会損失も生まれやすいので、よりしっかりとした販売計画・仕入計画が要求されるようになるのは注意しておきます。
顧客との新しい関係性(買いだめ文化の再来)
年末の売上アップ: 「元日から数日は店が閉まる」という認識が定着すると、12月30日・31日のまとめ買い(客単価アップ)が強化され、休業による損失をある程度カバーできるようになります。

そして”おせち料理”の本来の使い方がフォーカスされることになりそうです。最近の冷凍おせちは、冷凍技術の向上によりチルドおせちと遜色ない品質になってきているので、新しい商品の育成のチャンスにもなります。
企業ブランドの向上: 近年では、従業員を大切にする姿勢(ホワイト企業としての姿勢)が、消費者からも「応援したい店」としてポジティブに受け止められる傾向にあります。
まとめ
スーパーマーケットにおける正月営業のメリット・デメリットを比べて、どちらが得なのかについて検討してみました。
| 視点 | 短期的な影響 | 長期的な影響 |
|---|---|---|
| 売り上げ | 数日分の売上が消失する | 年末のまとめ買い増加で補完される可能性 |
| 人材 | シフト調整が楽になる | 採用力が強化され、人手不足が解消する |
| コスト | 光熱費・人件費が浮く | 廃棄ロスや教育コストが大幅に改善する |
という訳で、売上は確かに消失しますが、短期的に起きること・長期的に期待できることをまとめても、6項目中5項目でポジティブな効果がありそうです。
とは言え、単純に売り上げ消失・休業中に他社にシェアを取られないか…という懸念はありますが、深層では休みたい正月に売上=作業負担が他社もいつまでも支えられないのも事実。
また、休んでもシェアを易々と渡さないために、商品や接客を通じて、普段から顧客との信頼を築いていくことも重要ですね。
